基準測定法PAGE ‹ TOPHOME

基準測定法

 基準測定法 (基準測定操作法) は、reference measurement procedure (RMP) の英語名の訳語であり、その定義は、同じ種類の量の測定標準に関係することなく測定結果を得るために用いる最高位の測定手段 (JIS K 0211:2013) としている。
 測定法には、元来測定原理の上から得られる測定値の信頼性の度合いの程度に応じて階級付けがされる。この階級の頂点に位置する測定法の名称がRMPである。すなわち、通常はSI (国体単位) 系で表示される測定量に対して、測定試料と測定法の関係を、上から順次下に鎖で繋げた階層構造を測定体系 (measurement system) といい、この体系での測定法の最上位がRMPである。このRMPは、化学分析の合理性に基づいた測定原理に基づくものが適用される。一般的には重量法、電量滴定法や同位体希釈質量分析法 (isotope dilution-mass spectrometry : ID-MS) などである。RMPの検量線の設定に用いる溶液には、純度標準物質 (一次標準物質) が用いられる。
 RMPは、二次標準物質として、主に血清試料などのマトリスクを有した組成標準物質の濃度値 (特性値) を決定するのに用いる。例えば、IFCC法によるHbA1c測定用の組成標準物質 (全血標準物質:HbA1c calibrator whole blood) の特性値は、純度標準物質のHbA0およびHbA1cの混合比の試料を検量線の設定に用いて、全血試料中のHbA0値およびHbA1c値をそれぞれHPLC分画処理後のMS (HPLC-MS:high performance liquid chromatography-mass spectrometry) などで決定する。また、血清中のGA測定用の組成標準物質 (血清標準物質) の特性値は、純物質 (DOF-Lys, Lys) を用いたID-LC-MS (isotope dilution-liquid chromatography-mass spectrometry) で決定するなどである。
 なお、非SI系の場合のRMPは、これを設定した機関での最高位の測定法となる。例えば、HbA1cのNGSP値は、Bio-Rex resin HPLCであり、HbA1cのJDS値は、スタートは市販のHPLCであったが、以後KO500法となった。また、酵素活性測定におけるRMPは、専門家集団による合意に基づく測定法であり、IFCC (International Federation of Clinical Chemistry and laboratory Medicine:国際臨床化学会) で設定したIFCC一次基準操作法 (IFCC primary reference procedure) である。また、免疫成分などの抗原や抗体など測定では、WHOが定めた国際生物学的標準品 (international biological standard) が、それぞれ測定体系の頂点になる。